東京のトンボに会いに行こう

喜多英人

撮影:2021年9月27日、東京都千代田区にて

画像提供:喜多英人氏

世界最大の都市のひとつ,Tokyo。この巨大都市にトンボなんかいるのだろうか?多くの人がそう思うに違いない。ただ,東京を上空から見ると緑がとても多く,緑地にはたいていトンボが棲んでいそうな水辺があることに気づく。

東京はトンボ王国なのだ。実際,東京には日本で2番目に多い108種ものトンボが記録されている。今回の「東京いきもの調査団2023」の市民調査でもトンボは3600件を超える投稿があった。皆さんの身近な場所にもトンボはきっといる。さぁ,トンボを探しに出かけてみよう。

トンボに出会うにはちょっとしたコツがいる。トンボの幼虫は水中で育つのでトンボを探すにはやはり水辺がいい。都心のど真ん中,日比谷公園の心字池や雲形池にもトンボがいる。丘陵地の小川にもたくさんのトンボが見られる。都心の池と郊外の川にいるトンボでは種類が違うことに気がつくだろう。東京には多様な水辺環境が残されているからトンボの種類も多い。このようにフィールド観察は多くのことを私たちに教えてくれる。

私は東京都のトンボ研究をライフワークの一つとしてきた。自分が長年観察してきた記録が,多くの研究者たちの記録や都民の方から投稿いただいた貴重なデータとともに,今回の東京のトンボ目録の礎になったことがとてもうれしい。そして,この目録により多くの人が東京のトンボや豊かな水辺環境に関心を持ってくれたら,もっとうれしい。

喜多英人

喜多英人 (日本トンボ学会)

1959年東京都北多摩郡久留米町(現 東久留米市)生まれ。中央区在住。日本トンボ学会会員(2007年から2019年まで編集幹事)。東京のトンボをはじめ日本全国のトンボの写真撮影や生態研究を行う。著書に『東京都のトンボ』(いかだ社)、『Dragonflies of Four Seasons』(共同制作;むさしの里山研究会)、『トンボウォッチングガイド』(共著;むさしの里山研究会)。1982年学習院大学文学部卒業。2019年までスイス系製薬企業勤務。